STEP1:勝てる戦略のEAか見極める

STEP1:勝てる戦略のEAか見極める

STEP1:勝てる戦略のEAか見極める

ここではJIRO流の見極め方を解説します!

紆余曲折経て培った方法なので、他の方とは違う部分もあると思います。
私はこれで結果が出ているので、まずはこのポイントを見てみてください。
かなり長い項目になるので、何回かに分けてゆっくり読むことをお勧めします。

どんな設計のEAか解説がある

相場のどういうポイントを狙う戦略なのか説明があるのが望ましいです。

例えば「ブレイクアウトを狙うEAです。」「トレンドフォロータイプのEAです。」とかそんな感じですね。

ロジックの詳細は、転用されてしまう関係で解説されない場合が殆どです。

なので、ざっくりとした解説があれば十分です。

こういった説明も無いまま「爆益型のシステム!」「安定型のEAです!」「月利30%!」など謳っている物は大体詐欺です。

そもそもEAって、コツコツと期待利得を得るシステムトレードです。
爆益なんてないですし、過去統計で安定していた設計じゃないと運用しないですよね。

こういった射幸心を煽る説明には注意しましょう。

リアルフォワードがあるか確認する

リアルフォワードとは、現状の相場で運用しているデータの事を指します。
最初の内は、リアルフォワードが無いものは問答無用で除外しても良いです。

試行回数の多いリアルフォワードがあればあるほど信頼に値します。
ここで注意して欲しい点は「長期間」というより「試行回数が多いか」です。

長期で運用していても取引回数が50回しかないというのは信頼に値しません。
たまたま偏った結果で良い結果が出ている可能性があるからですね。

「試行回数が多いか」という事に着目してみてください。

バックテストデータを確認する

EAのスペックを知る必要があります。
理想は自分でバックテストデータを取る事ですが、販売されているEAの殆どがバックテストできないと思います。
提供されているデータから判断しなければならないのが現状です。
問い合わせてバックテスト用のEAが貰える場合は貰ってください。

バックテストデータで見るべきポイントは、

①TDS変動のデータかどうか

②プロフィットファクター

③期待利得

④取引回数

⑤平均勝トレードと平均敗トレード

この5点です。

実際のバックテストデータを見ながら解説していきます。

①TDS変動のデータかどうか

TDS(TickDataSuite)と言うのは、より精巧な価格変動のデータを提供しているサービスです。
これを使う事によって、精巧な価格変動に加えて、過去の変動毎にスプレッドがどの程度開いたか(手数料が高くなったか)が分かります。

変動でテストしている場合、スプレッドの箇所に「変動」と表示されます。

スプレッド固定のデータでテストしてしまうと、スプレッドが凄く開いていた(手数料が高くなった)のに、テスト上ではスプレッドが低く、実際よりもパフォーマンスの良いデータが出てしまっているという事が起こり得ます。

なのでTDS「変動」を使っているかどうかが、EAのパフォーマンスを測る上で1つ重要なポイントとなります。

ここで注意しなければならないのが、TDSの設定で実際の変動値よりもかなり低く見積もった詐欺的なカスタムもできてしまうという事です。

本来の使い方としては、FXのブローカー毎でスプレッドが違うので、そのスプレッドに合わせるために変動値を調整するという機能です。
悪意を持って弄られてしまうと実際のパフォーマンスよりもかなり高く見せることが可能になってしまうんですね。

この悪意の対策としてできるのは『リアルフォワードを見る』事です。

悪意を持って数値を弄っていればリアルフォワードで好成績を残せないですから、まずリアルフォワードが提供されているかを確認すれば詐欺に遭う可能性を減らせます。

②プロフィットファクター

「プロフィットファクター(PF)」は『総利益÷総損失』で計算する収益性能を測る指標です。

収益性能の指標と言っても、これを見てEAを選ぶという事はまずないです。
私は、使用する戦略の取捨選択の判断で使います。

集計データで、損失の出た場面を最後に切り取れば、総損失が大きくなりますよね?
そうなるとPFは落ちますし、利益が出た場面を最後に切り取ればPFは向上します。
なので、PFでEAの品質を測るという事はしない方が良いと私は考えています。

逆にPFが良すぎる(2を超える)のは、ロジックの苦手な期間を除外していたり、過去の相場に無理に合わせて作ったり、良く見せる様に作っている可能性が高いと判断できます。

私は機械的に2以上は排除するという基準を設けています。
(※一部例外はありますが基本的には上記基準です。)

実際の運用では、PFは高くて1.6、1.4あれば優秀、1.2はザラです。

上記の図ではPF1.8あり、かなり優秀ですが、利益が乗ったところで終わっているので上振れしている状態です。

恐らく実稼働すると1.5くらいまでは落ちると思います。

2以上で詐欺的に良く見せようとした作りではなさそうなので候補に入れます。

バックテストデータのPFは、前述のとおり区切る期間で変化するので、この指標1つで判断できない点に注意してください。

③期待利得

期待利得とは『期待値』の事です

1トレードあたりに獲得できる利益の平均値を示しています。

期待利得が2PIPS以上の物を選びましょう。

日本円表記の場合、≪0.1Lotの1PIPS=100JPY≫として大まかな計算をします。

上記の図では、0.1Lot運用で、期待利得462JPYです。

462 ÷ 100 = 期待利得4.62PIPSという事になります。

USD建てのデータの場合、ドルを円換算して計算してみてください。

JPYを含んだ通貨ペア(USDJPYやEURJPYなど)以外の場合、正確には0.1Lotの1PIPS=100JPYではありません。

ここではざっくりとした基準として覚えておいてください。

④取引回数

取引回数が年平均100回以上の物が望ましいです。

戦略にもよりますが、勝率は40%~70%の物が多いです。

戦略が通用しているかの判断に、勝率40%の戦略で576回、勝率70%の戦略で165回(誤差±10%以内)の回数が必要です。
⇒確率の収束とは?
⇒収束に必要な試行回数

勝率70%の戦略でも、判断するのに年100回の取引で1年半以上です。

実稼働では痺れを切らす方が多いと思います。

なので、年平均の取引回数が100回以上で、EA投資は長期戦で取り組む必要があるものであるという事を予め理解しておいてください。

上記の図では、2015年1月2日~2023年4月28日のデータですので、8年4ヶ月分のデータという事になります。

1282(総取引回数) ÷ 8.33(8年4ヶ月を1年を1とした割合に直した数字) ≒ 153

年平均の取引回数が153回という事になります。

⑤平均勝トレードと平均敗トレード

「平均勝トレード」と「平均敗トレード」を知る事で損益分岐勝率を出せます。


損益分岐勝率の計算式

X = 平均勝トレード ÷ 平均敗トレード

損益分岐勝率= 1 ÷(1+X)× 100


上記の図では、平均勝トレードが1686JPY、平均敗トレードが1497JPYです。

1688 ÷ 1497 ≒ 1.12

1 ÷ (1 + 1.12) × 100 ≒ 47

※ ≒(ニアリーイコール)…ほぼイコール。約の意でも使用される。

47%が損益分岐勝率となります。

上記の図であれば、勝率が61.54%あるので、損益分岐勝率を上回っています。

バックテストデータの勝率は、実稼働すると大体落ちます。
5%程度は落ちたり一時的なブレが出ると思って良いでしょう。
これはFXブローカーの環境にテスト環境を合わせきれなかったり、他にも様々な要因がありますが、ここでは割愛します。

勝率が落ちる事を考慮して、
バックテストの勝率と損益分岐勝率の差が10%程ある物を選ぶのが無難です。

見極めポイントのまとめ

相場のどういうポイントを狙う戦略なのか説明がある

リアルフォワードの提示がある

TDS変動のバックテストデータである

プロフィットファクターが2未満である

期待利得が2pips以上ある

取引回数が年平均100回以上ある

損益分岐勝率より概ね10%以上高い勝率である

最初は見極めが大変かと思いますが、最低限このポイントを抑えれば、勝てる戦略を掴みやすくなるはずです!

⇒STEP2:トレード数量を決める